20世紀になって、人間の脳の生理学的な研究が進み、1950年ごろには部分の機能ではなく、「記憶」、「意志」などという総合的な精神活動まで研究されるようになってきたのです。その後急速な研究の進展がありましたが、20世紀の終わりになった現在でもなお、細かいことは未解明で、21世紀が脳の世紀と呼ばれるように、本格的な解明の時代に入るところです。
| 人間の思考、行動のすべては、「脳」の働きによって生み出されていることは間違いなく、もはや「心と体が〜〜」などどいうことではないのですね。 |
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| そして、「人間の記憶は、たくさんある神経細胞のつながりができること」であると分かってきたのです。150億個とも言われる神経細胞(ニューロンと呼ばれる)のつながりによって、記憶がされたりされなかったりする、ということが分かってきたのです。 |
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A人間の「記憶」は、「脳の神経細胞のつながり」が行動する(頭を使うようなことも含めて)ことによって、できていくこと。
我々の脳は、起きている間絶えず外界・対象物からの刺激に反応し、刻々と変化を起こしています。脳の能力は、生まれつきの遺伝的なものより、生後の環境的なもの、つまり生活していく行動そのものによって作られていくことのようです。ですから、「生まれつき頭が悪い」とか、「親からの遺伝で〜〜ができない」などというのは、19世紀的考え方と言えるでしょう。
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B「学習」は、脳に神経細胞のつながりができるような、刺激になるような活動(行動)をしないと意味がない
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| 脳の中に神経細胞のつながりができるためには、「どんな刺激が意味があるのか」、「どのようにつながりができるのか」をつかんで、活動(行動)をしていくことが学習をすることになると言えます。ですから学習活動は、いわゆる五感を使うような、よく見たり、聞いたり、触ったり、においを嗅いだり、なめて味わったりなど、できるだけ脳に直接的な刺激があることをするのがよいことになります。 |
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ですから、いすに座って「教師の話を聞く」、「教科書を読む」といったような一斉授業、研修の場では、ほんの一部の脳(聴覚、視覚)の部分が使われているに過ぎないことは、明確です。ですから、眠くなるのは当たり前ですね。また、教科書にある見たことも経験したこともないものの文字や言葉を、いくら覚えても創造的な発想や何かができるようになるわけではないのですね。「知識を伝達する」ということでは、ほとんど「学習にはならない」と言えます。
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C一人一人の脳はすべて違うので、個人に合わせた学習活動を用意する必要がある
生まれたときの脳はほぼ白紙のような状態で、3才ぐらいまでに基本の形が出来てくるようです。3才まででも一人一人の脳は異なる環境に置かれて育ってきています。
同じ「犬」という言葉を聞いても、「犬を飼っていたことのある子ども」と、「TVや本でしかみたことの無い子ども」では、それぞれの子どもの脳は異なる反応をしているのです。「同じ言葉を聞いて同じことを考えるなどというのは、大間違い」だと指導者は考えなければならないでしょう。
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| 学習者ひとりひとりの脳をよく見極めて、それぞれにふさわしい学習活動をさせて上げることが、本当にその人を育てることになるのですね。 |
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