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課題のある総合的活動「プロジェクト」が学習意欲を生む
学習、研修は、ある課題を持った総合的な活動を中心に作られていることが必要です。学習者にとって何のために学習するかということが、学習者の学習意欲をもたらします。
目的を持った総合的な活動「プロジェクト」は、その学習者にとっての生活の一部分、もしくはその延長にあることが、学習意欲を生みだし、自主的学習につながります。学習者に「〜〜ができるようになると、自分の生活の〜〜が変わる」ことが具体的に感じられると、興味が湧き、やってみたくなるのです。
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例えば、小学校低学年の子どもにとっては、「お店に買い物にいく」というようなことが「プロジェクト」になるでしょう。自分にとって、ほしいもの、必要なものを手に入れるという生活の一部分は、ある年代の子どもにとってはその目的が明確につかむことができます。
その目的が実感できると、学習意欲が湧くようになるのです。そうしたプロジェクトの中で、買い物をする「品物のこと」、「お店のこと」、「そこへいく道筋」、「お金のこと」などについて学習することが、子どもにとって位置付きます。 |
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知識を覚えるのは、プロジェクトではない
これまでの教育では往々にして「将来、いつか使うから覚えておく、知っておく」というような、「知識を覚える、理解する」ことが目的の学習になっているために、学習者にとって学習意欲をもたせないものになっています。
企業の製造現場マンの教育などの場合、「製品の歩留まりとはなにか」、「品質管理とは何か」、「電気の基礎」、「機械の基礎」などという知識を与えて、仕事に活かすのは各自の責任でというのでは、意欲もでません。
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現場マンにとっての「プロジェクト」は、日常の仕事に即して「製造品の歩留まり(良品率)を上げる」とか、「製造品の品質を上げる」、「設備の故障を直す」といった課題を解決する学習になっていると、学習意欲が湧くことになります。知識を学ぶことが目的でなく、自分の生活、仕事を変えていくのが目的であれば、意欲は出てくるものです。 |
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「プロジェクト」の中に「ねらいを持った活動」を位置づけて
総合的活動の「プロジェクト」が学習の中心にあって、そこの中にそのプロジェクトを実現するために必要な能力を身につける活動が、位置付くのです。それらのねらいをもった活動も、具体的な行動を伴う体験であることが必要となります。
子どもにとって、買い物をすることの中に「何を買うのか、それはどうやって見分けるのか」といった品物について研究する必要性がでてくることになり、またそれを買う「お金をいくら持っていくのか、やりとりはどうするのか」といったことで計算を学ぶ必要性が位置付くのです。
プロジェクト全体の中での位置づけが重要で、一つ一つは、具体的な活動を学習とすると、大変積極的学習するようになります。
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総合的な目的を持った活動が学習の中心にあって、その活動に必要な能力に合わせたねらいが構造的に位置づいていることが必要です。
「何かを作る」など具体的な活動が、目標になっていることが、学習意欲を生み、学習が継続されていくことになります。
プロジェクトの中でのねらいを明確に
昔は、学校教育の中で「生活単元学習」と呼ばれ、「プロジェクト」が行われたこともあったのですが、活動することに重きが置かれ過ぎ、プロジェクトを通じて身につける必要能力が位置付かなくなり、うまくいかなった歴史があります。
プロジェクトの課題は学習者一人一人に合わせて
プロジェクトは誰にでも同じ様に、受け取られるものではありません。同じプロジェクトが、子どもと大人では生活が異なるように、学習者一人一人の経験にそれぞれ異なって受け取られますので、学習意欲が湧くかどうかは個人によって異なると言えます。
また学習者によっては、プロジェクトの課題が初めから位置付かないこともあります。本人自身が、やってみたい、できるようになってみたいということに気づいていない場合もあるからです。学習の導入時には、そうしたことを気づかせるような活動をじっくりさせることも必要だと思います。プロジェクトの意味、課題は、少し学習しているうちに出てくる、感じてくることも多いのです。
(注)
「プロジェクト」は20世紀初頭にアメリカで実践がはじまった実験で、キルパトリックが「全精神を打ち込んだ目的ある活動」という概念で規定したものです。J.デューイは、活動的な仕事、衣食住の一番基礎的な活動と位置づけました。 |