日本の製造業においては、円高の長期化で生産拠点を海外に移すところが多く、技術の空洞化が心配される一方、5~6年前から団塊世代の熟練技術者が大量に定年退職することで、技術の低下ばかりでなく、品質管理や安全管理の面でも能力低下が心配されています。ベテランの技術を短期間にいかに速く確実に継承していくかという、新たな教育ニーズが生まれたのです。
当センターでは、1960年代から製造現場の自動化・情報化に対応する人材育成の方式を研究、カリキュラム設計と教材開発を行って多くの産業現場で教育実践を続けてきました。その基本は、基礎的な製造プロセスを把握する実験、製造システムを定性的に把握する現場学習、製造工程の基礎となる電気、シーケンス制御、フィードバック制御などの基礎学習です。特長は座学が全くなく、すべてグループにより探究的かつ協調的な学習であることで、それが確実に成果を上げ、今日まで継続しています。
今期は新人研修だけでなく、「技術継承」に的をしぼり、製造工程の定量的なオペレーションができる中堅社員、さらに製造上の品質変動にも対応できるリーダーの教育について、現場調査と行動分析を基に、カリキュラムと教材の開発を進めています。
*現在、製糖会社2社とのコンサルタント契約により、教材を開発中。