できることだけやっていたのでは、成長しない
始めてのことをするときは、たいていは失敗する。
人間の脳は、失敗を修正することによって、目標の行動を成立させるための神経回路を作り上げていくのである。だいたい、初めての行動を行うときには、その行動を成立するための回路は出来上がっていない。人間の脳は、行動したときに発生した神経回路の興奮を記憶するという形で行動のしかたを蓄積していくものだからである。
初めての行動をするときは、その行動を成立させるのに近いものを組み合わせて、脳は対処する。それに不足があれば失敗する。行動表現するための身体の各部と神経回路との信号のやりとりが、目標行動が要求するより遅い場合も失敗する。
人は、何度もやり直してその失敗を修正していく。そうして、だんだん目標の行動を成立させるための回路を作っていくのである。繰り返すことにより信号の伝達スピードも速くなり、やがて目標の行動ができるようになる。
人間は失敗を修正することによって成長していくのである。できることだけやっていたのでは、能力はそれ以上に伸びない。
失敗を許して、チャンスを与える
組織の力は、一人ひとりの力の総合である。失敗させたら組織にとってマイナスと考え、失敗させないようにしていたのでは、そのものの力は伸びない。一人ひとりの力が伸びていかなければ、組織としての力も伸びていかない。
つまり、一人ひとりに少し背伸びをさせて、仕事に挑戦させることが大事だということである。そのものの頭をフル回転させて、仕事をさせる。そして、やったこととその結果を自覚させることが、成長させるためのポイントである。
失敗したら、失敗の原因を分析させる。その対策を考えさせる。そしてもう一度チャンスを与える。それが上に立つもの、指導する立場にあるものの、あるべき行動の姿勢だろう。
そして、もうひとつやること
それは、部下の失敗のカバー。
上に立つもの、指導する立場にあるものは、失敗をカバーする力、失敗に対処する力を持っていなければならない。そうした姿勢と力を持った組織でなければ、成長していかない。