4.脳は、快に向かって行動する
-学習は楽しくなければならない-
●「快」に向かい「不快」を避けるのは本能
脳は本質的に「快」に向かって行動します。
これは、脳の中央にある扁桃体の働きです。扁桃体は、「古い脳」と呼ばれる生命維持など本能的な働きをつかさどる部分の一部で、自分にとって「快」つまり心地よいものは「安全」、不快なものは「危険」と判断する機能があります。そして、「快」は積極的に取り込み、「不快=危険なもの」は避けるように行動させるように働くのです
●必要があって行う学習は、避けられては困る
学習は脳にとって「快」でなければならない
ということです。
●脳にとっての「快」「不快」とは
「心地よさ=快」は、必ずしも「楽(らく)」ということではありません。
脳は簡単すぎることには興味を示さないということが、実験で明らかになっています。
脳にとって刺激は「快」、逆に刺激にならないことは「不快」です。
退屈な講義、聞いていてもわからない授業は、脳を刺激しません。
おしゃべりや居眠りは、快を求める脳の本能的な働きなのです。
●「快」「不快」は経験によって変化する
「困難(難しい課題)」は、本来は「不快」。
しかし、困難を克服したときは、大きな喜び・感動(=快)が得られます。
仲間と一緒に困難を克服したときは、より大きな喜び・感動(快)が得られます。
そうした積み重ねをすると、脳は「困難(難しい課題)」そのものを「不快」とは判断しなくなるのです。
失敗は「不快」。
しかし失敗を克服しての成功は、苦労なしの成功より大きな「快」。
失敗の内容が、成功のヒントになっていたりすれば、なおさらのこと。
失敗も恐れることなく、チャレンジするのが「快」となっていきます。
●JADECが考える「学習における快」
学習における「快」、それは単なる面白おかしい「快」ではありません。
その学習の目標を成立させるための学習活動そのものが、「快」であるということです。
▼ | 学習の目標がしっかりと見えること。 それが自分にとって意味のあるものだと思えること。 |
▼ | 頑張ればできそうだと思えること。やさしすぎないこと。 |
▼ | 学習の各段階で、自分の成長が自覚できること。 具体的な行動ができる / 視点ができる / 視野が広がる |
▼ | 苦労を共にする仲間がいること。 または、学習の過程でそういう間柄になっていくこと。 |
▼ | 相談できる指導者がいること。 |
●学習者一人ひとりに対応する姿勢で
行動学習 グループ学習 スパイラルアップ構造
JADECの学習は、それ自身、学習活動を「快」にする条件をもっています。
しかし、学習者は一人ひとり、性格もそれぞれの経験も違います。
条件が同じだからと言って、同じように学習が進むわけではありません。
一人ひとりの脳が「快」の状態になるように対応し、それぞれの行動目標を達成できるようにしていく必要があります。
その課題をになうのが指導者です。
こうした脳の特性を理解し、学習者一人ひとりに対応する姿勢を持った指導者がいて初めて、真の学習が成立します。
そうした指導者の育成が重要です。
» 1.なぜ脳を問題にするのか
» 2.行動したことができるようになる
» 3.脳の得意は「分類」と「組み合わせ」
» 4.脳は「快」に向かって行動する
≫ 働く人のための脳行動学講座