3.脳は「快」に向かって行動する

-学習は楽しくなければならない-

●「快」に向かい「不快」を避けるのは本能

 脳は本質的に「快」に向かって行動します。
これは、脳の中央にある側坐核の働きです。側坐核は、「古い脳」と呼ばれる生命維持など本能的な働きをつかさどる部分の一部で、自分にとって「快」、つまり心地よいものは「安全」、不快なものは「危険」と判断する機能があります。
そして、「快」は積極的に取り込み、「不快=危険なもの」は避けるように行動させるように働くのです。(ドーパミンのコントロール)

必要があって行う学習は、避けられては困ります。

学習は脳にとって「快」でなければならない
ということです。


● 脳にとっての「快」「不快」とは

脳にとっての「心地よさ=快」は、必ずしも「楽(らく)」ということではありません。
脳は、あまりやさしい(簡単な)ことには興味を示さないということが、実験で明らかになっています。

脳にとって刺激は「快」、逆に刺激にならないことは「不快」です。
退屈な講義、聞いていてもわからない授業は、脳を刺激しません。
そんな授業で、居眠りをしたりおしゃべりをしたりした経験があるでしょう。


●「不快」も「快」に変化する

脳の「快」「不快」は経験によって、変化していきます。

「困難(難しい課題)」は、本来は「不快」です。
しかし、困難を克服したときは、大きな喜び・感動が得られます。これは「快」です。
仲間と一緒に困難を克服したときは、より大きな喜び・感動(快)が得られます。
そうした積み重ねをすると、脳は「困難(難しい課題)」そのものを「不快」とは判断しなくなっていきます。

失敗は「不快」。しかし失敗を克服しての成功は、苦労なしの成功より大きな「快」。
失敗の内容が、成功のヒントになっていたりすれば、なおさらのこと。
失敗も恐れることはない、チャレンジするのが「快」となっていきます。


●JADECが考える「学習における快」

学習における「快」、それは単なる面白おかしい「快」ではありません。
その学習の目標を成立させるための学習活動そのものが、
「快」であるということです。

学習における快
学習の目標がしっかりと見えること。
それが自分にとって意味のあるものだと思えること。
頑張ればできそうだと思えること。やさしすぎないこと。
学習の各段階で、自分の成長が自覚できること。

具体的な行動ができる / 視点ができる / 視野が広がる

苦労を共にする仲間がいること。

または、学習の過程でそういう間柄になっていくこと。

相談できる指導者がいること。

●学習者一人ひとりに対応する姿勢で

「行動学習」「グループ学習」「スパイラルアップの学習構造」というJADECの学習は、それ自身、学習活動を「快」にする条件をもっています。

しかし、学習者は一人ひとり同じではありません。性格もそれぞれの経験も違います。
条件が同じだからと言って、同じように学習が進むわけではありません。
一人ひとりの脳が、「快」の状態になるように対応し、それぞれの行動目標を達成できるようにしていく必要があると考えています。

その課題を担うのが指導者です。
こうした人間の特性を理解し学習者一人ひとりに対応する姿勢を持った指導者がいて、初めて学習システムを真に生かすことができると考えています。