JADECの教材

[ コミュニケーションの教材 ]
ベーシック・コミュニケーション「相手の心を受けとめる」

「コミュニケーションの基礎」ビデオ教材
「わかる」のでなく、「反応できる」ようになる行動的ビデオ教材

かねてから開発してきたコミュニケーションの基礎的能力を育てる学習教材が、使用可能な形になりました。
いろいろな形で活用できます。ご利用ください。

(「ワークブック」と「指導マニュアル」の一部を見ることが出来ます)


「ベーシックコミュニケーション『相手の心を受けとめる』-分析編Ⅰ、Ⅱ」

<教材構成>

「こわされたオモチャ」の一場面

  • ビデオ‥‥‥‥‥‥全2巻(約40分)
  • ワークブック(» 目次)‥‥‥1冊
    (A4版、約60ページ)
    収録事例:
      「こわされたオモチャ」
      「遅かったじゃないの」
      「ねえ、聞いてるの?」
      「長電話」 他 全7編
  • 指導マニュアル‥1冊
    (A4版、約20ページ)
  • 特別価格:1セット 55,000円(税別)

<ワークブック目次>

  1. はじめに
  2. 学習のすすめ方
  3. 分析のしかたとワークブックの使い方
  4. 行動分析ワークシート
     1.こわされたオモチャ [その1][ その2]
     2.「遅かったじゃないの」 [その1] [その2] [その3]
     3.「受けてみたら?」 [その1] [その2]
     4.長電話 [その1] [その2]
     5.子供のケンカ [その1] [その2]
     6.「具合どう?」 [その1] [その2] [その3]
     7.「ねえ、聞いてるの?」 [その1] [その2]
  5. ディスカッション用ワークシート
     話し合いで考える

<1.はじめに>

(1)上手な会話、楽しい会話、心の通じ合う会話。誰しも、そうした会話をしたいと考えていると思います。
 ところが、それがなかなかむずかしいのです。会話とは、単に言葉が行ったり来たりするだけのことではありません。
 言葉の背後には、その人の心があります。喜びや悲しみ、驚きや怒り、心配や悩みがあります。
 また、期待や心づもりなど、さまざまな心の状態や動きがあります。


(2)そうした相手の心の状態や動きを、いかに読み取り、それを思いやった表現をするか、また、そうした心をいかに引き出してくるかが、上手な会話のポイントです。


ビデオ 分析編Ⅰ、Ⅱ(3)これは、そのポイントを実感し、なおかつ、自分の行動として身につけていくための学習です。
 学習は、このワークブックと、会話の事例の入ったビデオを使って進めます。


(4)ビデオには七つの会話の事例が入っています。それぞれの事例には、二つないし三つの展開の例が作ってあります。同じ条件設定で始まりながら違う結末を迎える、というようになっているのです。
 たとえば、一方は破局に向かい、もう一方は互いの気持ちがわかりあって良い方向に向かうといった具合です。
 なぜ、一方は破局に向かっていったのか、そして、もう一方はなぜうまくいったのか、その原因を分析するというのが課題です。


(5)会話の一区切りごとに、
 ・相手の言葉や表情から、相手の心をどう読み取ったか
 ・相手の気持をどう受けとめたか
 ・自分の気持をどう表現したか
 ・相手の気持をどのように引きだそうとしたか
といったポイントで分析し、そして、その会話の結果が相手のどういう反応となって返ってくるか、その因果関係をとらえるのです。


(6)分析のしかたは、このワークブックの2.学習のすすめ方の項に、要領とヒントが示してありますから、参考にしてください。


(7)そして、ここでの学習でつかんだことを、毎日の生活の中の会話の場面で、少しずつでも実践していってください。その行動の積み重ねが、きっと、あなたをコミュニケーション上手にしてくれるでしょう。

<2.学習のすすめ方>

1)七つの会話の事例のうち,分析の対象とする事例を一つ選びます。
2)選んだ事例のビデオを見ます。
①1回目は、失敗事例、成功事例、共に通してみます。そして、会話の経緯をざっと頭に入れてください。
②2回目は、失敗事例、成功事例それぞれを区切って見ます。
 失敗事例を見終わったら、いったんビデオを止めて、なぜ失敗したのかを考えてみてください。
 次に成功事例を見て、今度はなぜ成功したのかを考えてみてください。
 ここでは、あまりつきつめて考える必要はありません。
 今までの自分たちの考え方で思いつく程度でかまいません。
 考えたことは、ワークブックにメモしておいてください。
3)次がいよいよ本番の学習。コミュニケーション行動の分析です。
①分析は、失敗例から先にやってください。
②分析は会話の一区切りずつ行います。
 該当する事例のワークシートに、会話のすべてを順番に書いてありますので、その順番に従ってやっていってください。
③分析の内容は、「言葉の中から、その人の頭の中の行動、つまり、感じたことや考えたことを読み取る」ことです。そして、それを「相手にどのように表現しているか」ということです。
 分析の要領とワークブックの使い方は、次の『3.分析のしかたとワークブックの使い方』を参考にしてください。
④一区切りずつの分析が終わったら、会話全体の展開に視点をあててみてください。
 特に、相手の気持をどう受けとめているか(いないか)、受けとめたことを相手に対してどう表現しているか、また相手の気持をどのように聞き出しているか(いないか)、確かめているか(いないか)ということに注目して見ていってください。
 そして、その結果、話がどう展開していっているかを見てください。
⑤失敗事例が終わったら、続いて成功事例についても同じように分析してください。
 そして、分析が終わったら、④の視点で、失敗例と成功例を比較してください。
4)3までの学習がおわったら、日常生活でのコミュニケーションに目を向けてください。(分析はすべての事例についてやる必要はありません。)
日常のコミュニケーションも、同じ視点で分析できるようになることがねらいです。
ただし、これは、実際に会話をすすませながら同時に分析していくのですから大変です。少し練習が必要です。
始めのうちは、失敗したときの会話、うまくいったときの会話などを書きとめておき、あとで客観的な立場になって分析してみるとよいでしょう。
また、グループを作り、それぞれの体験事例を持ち寄っての研究会を開くことをぜひおすすめします。
人によって感じ方も考え方も、また相手に対する対応のしかたもちがいます。そうしたものに触れることで、自分の視点をみがくと同時に、自分の心の幅や奥行きを広げることができます。
そして、何より、同じ目標を持つ仲間たちとの語らいは、次へのチャレンジへの意欲をわかせることになります。
5)このワークブックの 5.話し合いで考える は、コミュニケーションに関するディスカッションテーマです。
互いの気持ちが通じ合うコミュニケーションを成立させるために、ぜひ考えていただきたいことを挙げました。時間を作って、ぜひ話し合って(考えて)みてください。
6)こうして、毎日少しずつでも気にとめて、相手の気持を読み取ろう、その気持を受けとめようと心がけ、相手の気持を引き出そうとしていくことで、あなたのコミュニケーション生活は、きっと楽しく豊かなものになっていくはずです。

<3.分析のしかたとワークブックの使い方>

 ワークブックは、会話の一対応ごとに区切り、さらに一人ずつに区切ってあります。これは、会話というものが、原則として相手の言葉に対応して進んでいくものだからです。発せられた言葉が、相手の言葉をどう受け取って発せられたものかをとらえやすくするための工夫です。

というように見ていくのです。
 分析内容の記入のしかたは、原則として使う個人個人のやりやすい方法でかまいません。自分のとらえたことや、思考の経過がわかるようにさえしておけば、文章で書き込んでも、メモのような形でも、何でもかまいません。
 見ていくときは、
   ①相手の気持をどう読み取っているか(どう表現しているか)
   ②本人の気持ちや考え(どう表現しているか)
  この二つの視点をはっきり立てて見ていってください。また、
   ③相手に対する問いかけの言葉
に気をつけて見ていってください。その言葉が何を聞いているのか、相手の気持を引き出すためのものになっているかをとらえてください。
 このような視点を立てて見ていくと、会話を進めている二人の気持ちや、その変化、また二人の気持ちがずれていったり、理解の方向に進んでいく、その経過がはっきりします。

 この分析をする上でしっかりおさえておくべきことは、これは「会話の評価ではない」ということです。たとえば、母親と娘とが決裂した会話を「母親も一方的だが、娘も感情的すぎるし、言い方が乱暴だ。どっともどっちである」といったようなとらえ方をするのではないということです。そういう分析のしかたは、単にその会話の評価をするにすぎず、次に何の発展も生み出しません。

 この分析は、自分の視点や表現をみがくためのものなのです。一方的にならないためには、相手の言葉から何を読み取れるか、相手の心を受けとめる表現ができるかが問題なのです。自分がその場にいるつもりになって、言葉の背後にある会話をする二人の心を読み取ってください。そして互いの言葉が、互いの心を受けとめるものになっているかを分析してください。

 分析結果については、ただ一つの正しい答えがあるというわけではありません。人それぞれ感じ方や経験が違いますから、当然違う結果も出てくるでしょう。その結果について、話し合ってください。そして、とらえ方が人によって違うということをつかんでください。そうしたことが、相手を受けとめる心を広く育てることになります。
 また、なぜそうとらえたかを話し合ってください。いろいろな人の意見を聞くことで、言葉の背後にある気持や心づもりなどをとらえる視点が深くなり、それがまた相手を受けとめる心をいっそう大きなものにしていくでしょう。

 次に記入の一例を示しました。参考にしてください。

<記入例(事例2「遅かったじゃないの」の場合)>
NO. 人物 会 話 言葉の背後にある感情や意図など表現から推測できることを記入する
①相手の気持、意図の読み取り
②本人の気持ち、意図
③問いかけの言葉
(小さな声で)ただいまー。
② 疲れ、空腹、心配ごと?
遅くなった後ろめたさ
おかえり、遅かったじゃないの。
いったい何時だと思ってるの?
連絡もしないで・・・・。
何かあったの?
①相手の気持、様子をあまりきづかっていない
②怒り、いらだち、心配
 心配→安心の裏返し
 連絡してこなかったことに対して
③詰問口調で、気持を引き出す言葉になっていない
(間)
うん、ちょっとね。
①怒っているなうるさく聞くだろうな
②事件的なことはあった、でもあまり言いたくない
疲れ、めんどう?
(全く話す気がないわけではない)
ちょっと?
ちょっとどうしたのよ。
① 相手がなぜはっきり言わないのかその気持を考えようとしていない
②きちんと返答しない娘へのいらだち
③追求する姿勢。自分の気持だけがでている。