研究開発活動

学習指導力育成方法の研究 2003~

研究の目的と経緯

理科実験指導の分析に使う多画面記録映像

「科学技術離れ」「理科離れ」が指摘され、さまざまな施策が展開されていますが、理科離れの対策として真に有効なのは、理科学習の真髄である「探究により自分の視点が広がっていくことの面白さ」を児童一人一人に実感させること、「自分で探究していく力」を育てることである、とJADECは考えています。
ところが、現場の教師たちの多くは、探究活動の指導を得意としていません。これまでの教員養成教育の中では、探究活動の指導はあまり重視されてこなかったからです。自身が探究活動を経験していない教師たちが存在するほどで、おのずと探究的授業は避けられる傾向にあり、理科が知識教育になっているという指摘も多く聞かれます。
これは、そうした現状を改善するための取り組みです。探究活動を指導する力を向上させるための方法、そして学校現場の実態に即して行う方法を見出すための活動です。
JADECでは2003年より、学校現場や教員OB と共同して、教員がその授業力を向上させるための学習システムを作成し検証してきました。

1.教員の理科力向上の教材開発と研修

教員を理科好きにする、教員の理科の学力を向上させ理科に自信を持たせることが、指導に効果を発揮します。目に見えないので苦手意識が高い電気を事例にして、教員用の学習教材を開発し研修を実施。その後の意識調査を行いました。(協力:茨城県水海道市豊岡小学校、東京都三鷹市三鷹第4小学校)

【活動報告】
【研究論文】
  • 教員の授業力育成に関する実践的研究―理科発展的学習における試み―
    能力開発工学センター研究紀要72号(矢口哲郎・白尾彰浩 /2004.6)
  • よりよい授業づくりを目指して―現場の教師たちとともに―
    能力開発工学センター研究紀要73号(白尾彰浩・矢口哲郎 /2004.6)

2.「学習指導記録の分析学習」の開発

学習者が主体的に行う探究活動の成立には、それを引出し促進させるための適切な指導が鍵を握る。探究学習の実写映像を分析し、活動の問題点を見出しその解決を考える行動を積み重ねることにより、学習者の主体的な学習を成立させるための指導のポイント(学習者の理解の状態や学習活動の状況を読み取る力、対話能力等)をつかみ、その実施をシミュレーションできる学習システムの開発を行いました。(平成18年度、19年度に財団法人新技術振興渡辺記念会の助成金を受け実施。)

【活動報告】
【研究論文】
  • 学習指導力向上への提案―多画面映像による学習記録の自己分析
    能力開発工学センター研究紀要77号(矢口哲郎,矢口みどり 2007.10)
  • 学習指導力向上への提案 その2―科学分野における探究活動指導力育成の方法の研究