かねてからJADECの教育思想に共鳴する金永澤氏(元韓国機械研究所所長、現韓国技術人育友会会長)の紹介を受けて、釜山にある仁済大学校に金紘鎰教授とYoon Sookhee教授(看護学科主任)を訪問したのが今年5月。訪問者はJADECの矢口みどり(看護教育研究チーム リーダー)と小澤秀子(理事)の二人。

JADEC学習の理念と具体的な看護教材を紹介した結果、非常によい学習方法だ、ということで、早速JADECが開発した学習教材を使った学習を試験的に実施しようという話がまとまりました。Yoon教授のクラスで極く小規模で実施すること、また、提供可能な教材が看護基礎技術の一部分に限られていることもあり、授業として実施することは不可能ということで、夏季休暇中の特別学習として実施しようということになりました。

左端:金紘鎰教授(仁済大学校工学部教授)
右端:ユン・スキ教授(同医学部看護学科主任)
中央左:小澤秀子(JADEC理事)
右:矢口みどり(同看護教育研究チームリーダー)

映像も使って行動学習の理念を紹介、
金紘鎰教授(前方)の通訳で

説明を聴くYoon教授(左)
と説明する矢口リーダー(手前右)

映像による紹介 Yoon教授と矢口リーダー

夏季特別学習の実施要項


実施月日

2005年8月11日(木)、12日(金)

学習した学生

仁済大学校看護学科4年生8名。
(基礎技術については、2、3学年で学習が済んでいるが、復習をかねて学習を希望するという学生を募ってもらいました。希望者は50名ぐらいいたそうですが、教材と指導体制を勘案して8名に絞りました。)

学習テーマとスケジュール

第1日第2日
午前採血の原理と方法ベッドメーキング
午後血圧測定の原理と方法---


学習の様子


学生たちにとって、グループで考えたり、実験したりして学んでいくという学習方式は初めてのようで、最初は戸惑っているようでしたが、すぐ慣れたようです。テキストの指示に従って真剣に行動し、友達との共同もスムーズになりました。

学生たちは理論はよく学んでいるらしく、言葉などはよく知っているのですが、実際の手技については、経験が少ない様子で、注射器を扱う手つきなどは心もとなくみえました。しかし、ムービーなどを参考にして、友達同士で注意しあうなど、研究的な学習ぶりで非常に真剣に学習を進めていました。

採血の学習

4人で話し合いながら、血液の吸引方法を研究しているところです。話し合いは真剣、針を刺す手つきは本番さながらの慎重ぶり。[→ 学習内容はこちら] 採血の学習

血圧測定の学習

心臓の収縮・拡張と血流の脈動の関係、一同薄いゴムでできた血管で脈動を実感して、ほ~という表情です。[→ 学習内容はこちら] 血圧測定の学習

ベッドメーキングの学習

出来上がっているベッドを調べることから学習が始まります。作業順序等すべてを設計できるようになることが目標です。[→ 学習内容はこちら] ベッドメーキングの学習

学生たちの感想(インタビューから)


  • 日本からいらっしゃるので緊張した。初めはどんなことをやるのか心配だった。学習が始まると、興味があった。事実をくわしく調べた。解剖学的な理論と実習 とを総合的に学べたので理解しやすかった。今までで一番役に立つ学習だった。理論と実習を別々に習うとごちゃごちゃするが、一緒に学ぶ方がもっと効果的だと思う。技術を使う時も役に立つ。

  • 血圧測定や採血など基本的なことについて、原理がよくわかっていなかった。 今日の授業で原理を習って分かったのでよかった。血圧を測定する過程がわかった。

  • まず、こういういい機会に私たちが勉強できたことを幸いに思います。理論的なことも勉強できたが、グループになってお互いに質問しあったりしながら勉強するという学習方法を体験して、これから実際に仕事をする時にも応用できると思うので、とてもよかったと思う。しかし、細かすぎて全体的なこと、重要なポイントがわからなくなることもあるので血圧測定のように重要なことだけやるのがよいと思う。有難うございました。

  • 最初このような研究に参加するように誘われた時は、日本の学生がどんな風に勉強するのか気になって参加することにした。内容は、看護科の学生であれば当たり前のように知らなければならない内容で、学校で既に習ったものでしたが、テキストとシミュレータがとてもよく出来ていて役に立った。全体的な流れが段階的に分かるようになっているので、短時間で技術を習得できると思った。