第2回研究会とその後

日時:6月10日(日)午後1時~5時
場所:矢口文庫
出席:越川、矢口みどり、榊、北村、小澤

主として矢口先生の進めた「地域教育計画」について、基本思想について話合った。基本には、学習する者が生活する場の中に教育の内容を求めるというプラグマティズムが根ざしていること、その思想は現在にも通ずる普遍性を持っていると思われるのに、なぜ教育界がそれを認めることにならなかったのか、などについて意見を述べ合った。話題の一部は以下の通り。

●富山県の総合教育計画が産業に奉仕する教育として、宗像誠也らによって強く批判されたが、そのポイントは?     
   例「診断・治療」への批判  (生徒の人格を無視、病人扱いしている、云々)

●国立教育研究所で行った青少年調査は、どのように活用されたか?

●学習オートメーション、教育工学の運動はなぜ継続されていないか?
  (言葉が誤解を生んだ?)

●水海道小学校での実践の意味、後へのつながり?

●いずれにしろ、当時を知る数少ない人々から出来るだけの情報を入手しておく必要がある。
  ○水海道:倉持氏、名村氏、菊地洋子さん、猪瀬和男(嘉造氏孫、資料の所在?)
  ○富山:加賀谷氏、国香氏、島村氏

★第3回研究会ー7月8日(日)
                                          (O)

■後日、越川さんから学会発表について下記のような連絡があった。

 *学会発表の申し込みをしました。

   戦後教育改革期における矢口新の役割
=戦後地域教育計画論の分析を通して=

 戦後教育改革における社会科の創設と地域教育計画論は、地域と結びついた民主的な人間の育成をめざした実験的な試みであった。その理論の基盤はデューイに始まる進歩主義教育論であり、米国のバージニアプランであり、川口プランなどにつながるものであった。この流れの中で、教育計画における実態調査の方法を確立し、実践していった研究者が矢口新である。実態調査にもとづいた教育の内容・方法・計画は極めて科学的で民主的なものであった。新たに発掘された埼玉県の三保谷プランの分析をとおして、矢口新の「行動=形成の教育学」・地域教育計画論を歴史的に再評価していきたい。

*戦前の調査から、戦後すぐから1955年頃までの流れをおいたいと思います。
アドバイスをお願いします。その後水海道実践と富山がまっています。

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研究会がスタートしました

 このたび、思いがけないことから、矢口新先生の業績を研究したいという人間が集まり、「矢口教育学研究会」(仮称)を立ち上げることになりました。
 そこで「研究会」の活動の様子を随時紹介するためのブログを開設し、関心のある方からのご意見・ご質問などいただければ有難いと考えました。研究の成果をどこに求めるかは、歩きながら考えて行きます。ご支援、よろしくお願いします。

 思いがけないことというのは、現在立教大学の大学院後期博士課程で教育史の研究をなさっている越川求さんという方が訪ねてこられたことです。越川さんは、現役の中学校の先生でありながら、大学院で研究を続けているというエネルギーのある方です。
 もともとは、コミュニティスクールや開発教育に関心をもって調べているうちに、埼玉県比企郡の地域教育計画「三保谷プラン」を知ったそうです。「三保谷プラン」というのは、「川口プラン」や水海道小学校、富山県北加積小学校での実践と並ぶ地域教育計画の一つで、当時中央教育研究所のメンバーであった矢口先生がその指導に当たっていたことから、「矢口新の教育学」にめぐり合ったということです。

 先日(5月5日)、越川さんの求めに応じて、矢口みどりさん、榊正昭さん、小澤秀子の3人が集まり、当時の矢口思想を知るための資料(主に多数の雑誌論文)を手に、意見交換を行いました。

 話し合ってみると、矢口先生を研究することが、単に過去を静的に研究することに止まらず、現在および未来に働く思想と方策を明らかにできるという信念が4人に共通していることがわかり、この信念を強固にして、いずれは何らかの形で発表するために、継続的に「研究会」を持とうということになりました。

 「研究会」について決まったことは、下記です。
 ①毎月1回ぐらいの会合を重ねること。原則として土曜日か日曜日。
★次回は6月10日(日曜日)午後1時から。
 ②場所は、矢口文庫(埼玉県新座市新堀2-1-7-603、西武池袋線清瀬駅から徒歩10分)
 ③越川さんが9月に予定している研究発表に備える必要から、まず1955年頃までの矢口先生の業績をとりあげる。この時期の実践が矢口教育学の原点ではないか、との思いもあります。
 
 この研究会への参加希望、問合せは、矢口みどり、榊正昭、小澤秀子まで。                                    <O>

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